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湯平石畳の道

​湯平を知る

Learn About Yunohira

湯平温泉赤提灯
泉源掃除
湯平の細道

​湯平・ゆのひら・YUNOHIRA

​湯平は、大分県由布市の湯布院町にある温泉旅館街。湯平温泉の名で古くは鎌倉時代の文献も残っている歴史ある湯治場だった。100年前の絵にも名所としてその詳細が記されていることが示すように、医療のない時代には、薬湯として重宝され全国から療養を求めて人々が集まった。また全盛期には、当時はまだ珍しかったフォード社製のタクシーが駅前に並び、別府に次ぐ歓楽街としても人気を博した。しかしやがて、その名湯も湯量を減らし、元々交通の不便な山あいの僻地にあった湯平は時代と共に過疎のまちへ。そんな折、まちの活性化を目指して2014年頃より旅館の旦那衆が設置を始めた「赤提灯」が人気となり、今ではまち全体に毎日450個の赤提灯が灯り、夜毎(よごと)谷あいに現れるその風景は、近年大分の代表的な夜景の一つに数えられるほどになった。

赤提灯の街並み
しかし、2020年には300年に一度と言われる規模の水害(令和2年7月豪雨)で一つの共同浴場とまちの景観の一部、大切な仲間を失う。そしてさらに、その2年後の大型台風14号による局地的豪雨で国道までの主要道路が大規模に損壊。川沿いの住家や歴史ある土産物屋も被災。
近年のゲリラ豪雨によって、湯平独特の風情ある空間が少しずつ削り取られているような痛みが続いている。
長い歴史を見ても、この地域が自然の恩恵も脅威も隣り合わせに歩んできたことがわかる。それでも800年という長い年月、この偏境の地に人が引き寄せられる理由は何か。それこそがこのプロジェクトで見つめていきたい部分でもある。偏境を見つめその真価を捉え直す(リフレーミングする)こと。一様な観光資源の提示でなく日本の多様な地域性は、きっとそういった滋味深い魅力や潜在的価値を含有していると感じる。現在もまだまだ復興工事中のゆのひらだが、自治区・まちづくり協議会・観光協会・旅館組合などの各団体が、復興に向けて様々な取り組みを行っている。何より現在まで大切に守られてきたまちのシンボルでもある石畳が、300年前の水害の復興のために作られたというエピソードもあり、日々そんな石畳の道を歩みながら、今ここにいる私たちに「300年後に何が残せるか」と問われているような気がしてならない。それがこのプロジェクトの動機の一つでもあり、私たちがこのまちの未来を考え続ける由縁でもある。先人たちが未来への希望を抱き、この石をひとつひとつ積み上げたことを思いながら。
水害の様子

2023年現在は人口約250人・ 90世帯がこの地域で暮らしている。

​標高が高いため地域猫は少ない。周辺の山々は鹿や猪やフクロウ、ウサギなど多様な野生動物たちの生息地。

湯平温泉(1923年)

↑100年前、1923年に描かれた湯平温泉の地図 左半分の山あいのまちが湯平。右端は別府、そして由布岳が描かれている。

出典:吉田初三郎式鳥瞰図データベース 「湯ノ平温泉名所圖繪(1923年)」

​歴史

1220年頃  

1721年頃 

1926年頃〜 

2020年7月7日

2022年9月18日

2023年3月1日〜

2023年9月1日

2024年3月1日

800年前には温泉地として開湯されていた記録が残る。

山津波と呼ばれる土砂崩れで大規模に被災。

この時、工藤三助という治水などの名工だった人物によって復興のための石畳の道が整備される。

​湯の評判で復興を遂げ、昭和初期には療養型温泉地として九州で別府に次ぐ第二位の入湯客を誇り、当時の温泉番付で西の横綱の称号をうけたこともあった。​

工藤三助

​野口雨情・種田山頭火など文化人達に愛される温泉へ

令和2年7月豪雨 局地的豪雨により、砂湯という共同浴場が流される。道路など周辺も大きく被災。

​台風14号による被害で国道に続く道が大きく流出。

河川周辺を含む大規模な改修工事が続いている。

・まちづくり協議会 ゆのひらんプロジェクト発足​

​・ゆのひら温泉観光協会 一般社団法人化

​・湯平藝文會 発足

 ゆのひらアートサイト2023-25 事業開始

・石畳の驛つるや 新装オープン

​ ゆのひらの新しい中核施設として開かれる

スクリーンショット 2024-03-16 18.21.43.png

​周辺の自然環境

 Natural environment

湯平山神社(谷川神社)
ゆのひら森林公園
花合野川源流

標高500~650mの自然豊かなの恩恵​

湯平は温泉で有名になったが、周辺の自然環境も素晴らしい財産である。標高も高いため、ほとんどが元を辿れば山からの湧水。その代表である湯平の中心を流れる花合野川(かごのがわ)の源流は、大量の岩清水でありその透明さと天然クーラーの威力に感動したのも、つい最近の大きな発見だった。地域住民もその存在を知らないひとも多く、もちろん簡単に行ける場所でなかったりするのだが、だからこそ探検心がそそられる。まだまだこのエリアの探検(フィールドワーク)の価値はありそうだ。また、県の環境保全林でもあるゆのひら森林公園は、地域の牧野組合によって適度に管理の行き届いた奥深い原野であり、野生の山椒や黄色の木苺、山野草なども自生、ちょっとした冒険をするのにも楽しいフィールドだ。ドライブでは30分でくじゅう連山を望む絶景コース、そして青く澄んだ男池湧水群やその水を讃える黒岳原生林、天然の炭酸水も湧く素晴らしい秘境も待ち受けている。

標高500m以上の日本の四季はとても鮮やかで深く、春の新緑も、夏の清々しさも、秋の真っ赤な紅葉も、冬の真っ白な銀世界もどれも記憶に刻まれる美しさだ。車で30分以内で交通の要である由布院盆地に行くことが出来るのも含めて、華美でない滋味深い旅を求める人にとっては最適なポイントとも言える。ただ山あいの為、駅からのアクセスは大変厳しく、周辺の自然を含めてぜひ車での観光をおすすめしたい。

 

 

当プロジェクトでも、ゆのひらの自然エリアにも周遊コースを拡張していく計画。​

 

野生の山椒
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